続きです!
もうすぐテストだってのに何やってんでしょうねぇ(何
次の日。昨日夜遅くまで起きていたのが影響してか、今日起きたのは、いつもの起きる時間をとっくに過ぎた、昼前でした。
「わあ…もうこんな時間だ」
ベッドの上で上半身だけ起こし、軽く伸びをしてから、枕元にある時計に手を伸ばします。時計の針は十一時を指していました。さすがにもう起きなければと、布団をめくると、白い綿のようなものが目に入りました。
ムーンです。まだ寝ているらしく、静かに寝息を立てていました。
「ムーン、ムーン、もう昼前だよ」
呼びかけると、ムーンはゆっくりと起きました。眠たそうに手で顔をこすっています。
起きた後、悠斗は服を着替えてリビングへと行きました。ムーンも一緒です。
「あら、今日はずいぶんと遅かったじゃない。夜更かしでもしたの?」
そう聞いてきたのは、悠斗の母親でした。
「遅いから朝ごはんは片付けちゃったわよ」
母親は、そこで話すのをやめました。あら、と声を漏らし、悠斗の足元を見ます。
「その兎、どうしたの?」
ムーンを指差して言いました。
「この子ね、昨日の夜迷い込んできたんだ。弱ってたみたいだから、家に入れたの」
悠斗が、ムーンを持ち上げて母親に見せながら、しばらくの間飼ってもいいかと聞きます。母親は黙って、まじまじとムーンを見ました。
少しの間そうやった後、しょうがないという感じで笑顔を作り、飼うのを許してくれました。
「ありがとうお母さん」
悠斗がお礼を言って、ムーンもお礼を言おうとします。ですが、開きかけた口は、悠斗によって塞がれてしまいました。
「悠斗、今何か言った?」
母親が聞くと、悠斗はなんでもない、と言って笑って誤魔化しました。
悠斗とムーンは外に出ました。家の近くにある、大きな木下に腰を下ろします。
「ごめんね」
言ったのはムーンでした。
「いいよ。でも、これからは気をつけてね」
悠斗が答えます。
ムーンが謝ったのは、さっき喋りかけた事に対して。何で悠斗はムーンの口を塞いだかというと、昨日の夜、寝る前にひとつのの約束事をしていたのです。
それは、悠斗以外の人の前では絶対に話さない事、というもの。これは、喋る兎なんて珍しいので、悠斗がムーンの事を心配しての事でした。
悠斗とムーンは、絶対に喋らないと、もう一度約束をしました。
その後は、外で遊びました。野原を走り回ったり、探検をしたり、話をしたり。そうしているうちに、日も暮れてきたので、悠斗とムーンは家へと帰りました。
「お帰りなさい。晩御飯、できてるわよ」
家に帰るとすぐに、母親にそう言われたので、手を洗ってからキッチンに行きました。悠斗が椅子に座り、ムーンは悠斗の膝の上。
食卓の上に置いてあった、今日の晩御飯は、大きなお餅の入ったお雑煮でした。悠斗が住んでいる地域では、満月の前か後にお餅を食べると言う風習があるため、夏の今でもお雑煮なのでした。
悠斗がお雑煮を食べようとすると、なにやら視線を感じました。一度手に持った箸を食卓の上に戻して、視線の元をたどると、
「ムーン?」
膝の上のムーンが、目を輝かせてお雑煮を見ていたのです。
「お雑煮、好きなの?」
悠斗が顔をムーンに近づけて、小声で聞くと、ムーンはこくこくと頷きました。そして、悠斗と同じく小声で、お餅が好き、と。
そんなムーンを見て、悠斗は少し笑うと、お餅を小さくちぎってムーンに渡しました。ムーンがそれを嬉しそうに食べるのを見て、自分もお雑煮を食べ始めました。
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今回ちょっと短めですね・・・
でもここで区切るのが一番区切りがいいのです!ってことで!(待
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