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とりあえず色々と。小話をちらほら。擬人化注意。
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Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by 鈴無詩音 - 2008.12.12,Fri
俺の世界は常に音で埋め尽くされていた。
それは普通じゃ決して聞こえない音。
それが何なのかはわからない。
もしかしたらそこらの人の声かもしれない。
もしかしたら幽霊なのかもしれない。
もしかしたら草木のざわめきなのかもしれない。
もしかしたら全く違う別の何かなのかもしれない。
わからない。わからないがその音は確かに俺には聞こえていたのだ。
誰に言っても馬鹿にされるだけ。
その音は俺にしか聞こえなかった。
なだれ込むその音の波が消えることはありえなくて。


″ねぇ聞いた?″
″今日は風が強いね″
″やめてくれよ冗談じゃない!″
″ざわり ざわり″
″今日はあいつが来ないからよかった″
″あー最近足がさぁ…″
″つまらないよ″
″次はいつ雨が降るの?″
″くすくすくすくす″
″綺麗な青空だね″
″じゃあまた″
″明日は何があるのかしら″
″わーやめてやめて!″
″コツ コツ カツリ″
″星に願ごとをしよう″

″ねぇ、ちゃんと話聞いてる?″


うるさい。
幻聴なのかもしれないが、ついそう叫びたくなる。
消えることのないその音に苛立つ。
この音のせいで、音が聞こえるせいで気味悪がって誰も俺に近づかない。
親すらも、俺と距離をとった。

もう放っておいてくれ。俺に構うなよ!

叫んでも音がどうなるわけでもない。
だから、俺は耳を塞ぐことにした。
常にヘッドフォンをかけて。
それで音が完全に消えることはなかったが、何もしないよりはマシだった。

誰とも何とも話さずに、何も聞かずに、俺は独りで毎日をやり過ごす。
それでよかった。何もしなければ悪くなることはないんだ。
それでいい、と思っていたのに。

「やあ、初めまして!不思議な音に悩む少年」

音もいつも通りまだ聞こえていた。ヘッドフォンもかけていた。
それなのにその声は俺の耳にはっきりと届いてきた。
あそこまで声がはっきり聞こえたのは初めてだった。
いつも何かに邪魔されていたから。
少々戸惑っている俺に、そいつはまた話しかけてきた。

何を言っていたかは覚えていない。
ただ、なにか大切なことだったんじゃないかとぼんやり思う。
そいつと言葉を交わしていたはずなのに、いつの間にか目の前が真っ白になっていた。


何もわからないままに、静寂の世界に投げ出されて。
それは初めて俺の周りから音が消えた瞬間だった。



―――――――
毎度毎度のことですがわけわかりませんねぇ(ぁ
これはウィズさんの過去の初期設定だったのですよ~
でもちょっと変えて今の状態となりました。
うーむ…誰か音に関係するキャラでも作りましょうかねぇ…
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